【名探偵コナン】生まれ変わったら新一の姉でした。2
第17章 〜仲の悪いガールズバンド〜
世良「まぁ兄貴の友人に教わったのはこれくらいだけどね…」
安室「そのベースを教えてくれた男の顔…覚えてますか?」
せっかく和やかだった雰囲気は、またピリピリとしたものに変わった。世良ちゃんは向かいに座る安室さんを睨み、安室さんは人をとって食ったような笑みでお互いを見ていた
世良「まあ…なんとなく…。でもどうしてわかったんだ? その友人は男だって…」
安室「まぁ…なんとなく…」
そんな2人の探り合いを聞いていると、もう止めに入るのさえ疲れてきてしまった。そして、まるで追い討ちをかけるようにして隣の方から女性バンドグループの喧嘩まで聞こえてきた
「みんな、気合抜けすぎじゃないの!?ライブまであと一週間しかないんだよ!?こんなんじゃ間に合わないって!」
突然の声に思わずビクついて、私はパっとそちらを見てしまった。そして、ハッと小さく息を呑んだ。幸い誰にもそれは知られていない
ちょうど休憩所には他にも女性四人組のグループがいて、声を上げているのはその中の一人だったようだ。
聞く限り、彼女達は練習内容の反省をしているようだが、盛り上がっているというよりピリピリしている空気が漂っている。やがてニット帽を被った女性が立ち上がり、休憩所の外へ向かおうとしていた
「…しばらく休憩入れて、みんな頭を冷やしてから練習再開だな…。それまで私、スタジオで仮眠とってるから」
そう言って休憩所から去って行く背中を、私はただ呆然と見つめていた。頭の中が、真っ白だった。事件に関する記憶が、一切ない…
先ほどのものは、とても見たことのある光景だった。けれど私は知っている。事件は決して止まらないということ。今まで、この世界で重要な役割を担う人間は助けられたが、それ以外の人間は助けられた試しがない
見えない力が働いている
椎奈「(…まるで、世界を歪ませた私に対する天からの罰ね)」
きっと、零さんもこんな気持ちなんだろう。大切なものを守るために、彼もこうして消えゆく命に耐えている。
私も、覚悟ならすでに出来ている…───