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【名探偵コナン】生まれ変わったら新一の姉でした。2

第16章 〜純黒の悪夢〜





椎奈の住むマンションに着くまで、車内に2人の会話は無かった。降谷が携帯で警察庁にいる上官と情報のやり取りをしていたためだ。

そして車がマンションに到着すると、車を降りて2人して椎奈の部屋まで来た。言葉を交わさない中で鍵を開けてドアノブに手をかけると、椎奈は最後に降谷を振り返る。その目は不安で揺れていて、濡れていた


椎奈「零さん…。必ず、無事でいてください。死なないで…」

降谷「…悪いが、それは約束できない。そんな気休めなものは心を抉るだけだ」

椎奈「……っ」


降谷の拒絶に、椎奈は泣きながら顔を歪ませた。これから降谷は一層危険な中に身を投じる。不安を少しでも軽くしようと約束させたいのに、降谷は厳しい現実を突きつけてきた。そんなものは椎奈は重々承知なのに


降谷「しばらくの間、お前の警護のメンバーを増やす。ジンは手段を選ばない奴だ。俺を大人しくさせるための人質にされかねない」

椎奈「……」

降谷「とにかくもう遅い時間だ。明日も仕事だろう? 今日は寝て、気分を切り替えるんだ」


降谷にはまだ警察庁でやることがある。今後の対策も練らなければならない。1分1秒が惜しい。これ以上、この場で降谷を止まらせるのは椎奈も嫌だった。

だから今度こそ自分の部屋のドアを開き、椎奈は中に入った。彼女がもう降谷を見ることなく、ドアは2人を別つかのようにゆっくりと閉まっていく。けれど、閉まりきる寸前で降谷が動いた


椎奈「?!」


椎奈がそれに驚いて息を呑むのと、ドアがバタンと閉じる音は同時だった。真っ暗な部屋で、降谷は椎奈をギュッと前から抱きしめキスを送った

啄むようなものから、だんだん深いものは。息が苦しくなって椎奈が胸を叩こうと、降谷が満足するまで止まらなかった。やっと話してもらえた時には、息切れを起こしていた


椎奈「零、さん…? どうして…」

降谷「今晩だけ許可をもらったんだ。一時だけでも、仕事から離れる時間を…。お前との時間を…」


そう言って椎奈の涙を拭いながら目を見つめるコバルトブルーの双眸は、不安と熱を孕んで揺れていた。椎奈は思わず体を震わせる
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