【名探偵コナン】生まれ変わったら新一の姉でした。2
第11章 〜ギスギスしたお茶会〜
それを見た安室さんは困ったように笑った
安室「実はお金を貸していて返して欲しいんだけど、本当に知らないかい?」
コナン「うん」
コナンくんが頷いた。すると、安室さんは「…すごいね君は」とコナンくんから離れる
どうやら安室さんが鎌をかけて成功したようだ。彼は次に廊下をすれ違おうとする女性2人が目に入ったので、その人たちに声をかける
安室「あの、すいません。楠田陸道って入院患者、知りませんか?」
女性1「楠田陸道さん? さぁ…どんな方? 年は?」
女性2「その人の写真とかあるかしら?」
安室「あ、いえ。もういいです」
あくまで試しに聞いてみただけのようで、安室さんはあっさりと聞き込みを諦めた。すると女性たちはそれに不審がりながら私たちを通り過ぎていく
安室さんはチラリと小五郎さんを見た
安室「毛利先生ならどうです?突然名前を出されて知らないかと聞かれたら」
毛利「そりゃあまぁ…今のおばさんたちみたいに…」
安室「そう。大抵の人は自分の記憶に絶対的な自信は無いんです。だから普通はNOと言う前に、その尋人の名前以外の情報を知りたがる。だから君はすごいよコナンくん! 名前以外で知らない人だと確信できるんだから!」
まるで言外で「君、本当は知ってるんだろ?」と言いたげな容赦無い言葉は、たとえ柔かな顔でもコナンくんを戸惑わせた
椎奈「(赤井さんが敵に回したく無いって言った気持ち、最近よく分かるよ…)」
小五郎「ガキの言うことを間に受けるなよ…。会ったことがあっても名前を知らない奴はざらにいるし、あだ名でしか知らない奴も───」
「3……2……1……ゼロー!!」
安室「!!!」
椎奈「!」
小五郎さんの声に被さって聞こえたのは、エレベーター前に立つ子供のカウントダウンだった
「ゼロ」に反応した安室さんは、そちらを振り返って呆然としてしまう。その様子を見上げていたコナンくんが顔を険しくさせるのを確認した私は、安室さんの目の前に手をチラつかせハッと気づかせた
安室「!!」
椎奈「大丈夫?安室さん」
安室「ああ…いえ…! 僕のあだ名もゼロだったので、呼ばれたのかと…」
小五郎「なんでゼロ…。名前は確か『透』だったよな?」