第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
『あの生き物の調査は優秀な部下に任せたので、特定は早いかと思うのですが、如何せん逃がしてしまっては…今はどうにもできませんね…。』
いつまたこのように街が混乱するかも分からない上、1度首を突っ込んでしまった以上最後まで見届けないと気が済まない性分な彼女はすこし肩を落とした。
「まぁ、今我々にやれることはやったさ。…して、神恵殿。先程銀時と電話をしていた件だが」
「あぁ…さっきの電話のですよね?アレ私の知り合いでは無いですよ。感じ的に私の部下と一緒にいたみたいですけど…」
流し目で苦笑いをする神恵。普段あまり人に興味がなく、一匹狼を貫いていた瑠樺が、誰かと一緒にいるなんてほとんど都市伝説に近かった。
「あぁ。あの声は間違いなく銀時だった。俺の古くからの知り合いでな。今は万事屋という商売をしているようだがアイツはそんな器では収まらない、これからの江戸の未来を担う男でな…。」
銀時についてペラペラと語り出す桂の話を聞き流しながら、ふと"万事屋"という単語に思い当たる神恵。
"神楽は今、万事屋とかいう怪しい商売をしてる銀髪天然パーマのところで居候している。父さんもどうにか連れ戻そうとしたんだが、神楽がそこから離れると聞かなくてな………"
「よろずや…万事屋…銀髪天然パーマ……神楽!!!!!!」
全てを思い出した!と言うような顔で声を上げる神恵に、びっくりした様子で話を止める桂。
「桂さん!その万事屋に連れて行ってくれませんか!!そこに私の…妹がっ…!私こんなところで道草食ってる場合じゃなかった…!」
ネズミの1件と、ゲーム探しですっかり頭から消えていたが、神恵の本来の目的は愛しの妹、神楽に会うことである。あんなに騒いでいたにもかかわらず、地球に来て幾度となくトラブルに見舞われすっかり見失っていた。
「妹………。もしや神恵殿、リーダーの姉君か!?」
桂は驚いたように目を丸くする。万事屋と繋がりがあったこととようやく合点がいく。
「リ、リーダー…?」
「あぁ、銀時の元にいつからか働きに来ているという夜兎族の少女だ。我々のリーダーでもある。」
桂がうんうんと頷きながら話す内容に、神恵も目を丸くして驚いていた。