第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
場所は戻って万事屋にて。
「状況は分かりました…。多分外来のエイリアンだと思うんですが、詳細は分からないのでこちらで早急に詳しく調べます。…とにかく!そちらの状況は大丈夫ではなさそうなので加勢を呼びますか?!」
瑠樺が強く呼びかけるがその電話口からは返事がない。すぐさま万事屋のテレビに目を移す。
そこには携帯から耳を離し困った顔をする神恵が映っていた。瑠樺が携帯の画面を見るといつの間にか切れてしまった通話の画面。かけ直しても電話からは「電波が発信できない場所にいるか、電源が入っていないためかかりません」という機械音が聞こえるだけだった。
(あの人携帯充電し忘れて行ったな……。折角持たせてもこれだからなぁ…。)
瑠樺はテレビの神恵の様子を見ながら呆れたため息を漏らす。しかし、それに頭を抱える暇はない。すぐにまた付けていた包帯を巻き直し始め、現場を調べる準備に取り掛かった。
そんな瑠樺の様子を見て、テレビの神恵の姿に釘付けだった神楽はつかさず瑠樺に声をかけた。
「待つアル!私も行くネ。神恵がこんなになってるのに黙ってられないネ!!」
準備を進めていた瑠樺のことを引き留める神楽。その視線は先程までの寂しげな表情とは違い、確固たる確信のある強い眼差しに変わっていた。
しかし、その手を瑠樺はゆっくりと振りほどいた。
「…この件早く決着つけて、必ず神楽さんの元に、あのバカを連れてきます。きっと神恵さん、神楽さんが自分の為に怪我でもしてしまったら何より悲しみます。それに、何かの拍子ですれ違ってまた会えないなんて事になったら本末転倒です。だからどうか、あの人を…ここで待っていてくれませんか?」
準備を終えた瑠樺は神楽に向き直り、素直な気持ちを伝えた。何よりも、家族と再会する時は戦場ではなく、ただの姉妹として会って欲しいというのが瑠樺の思いだった。
言ってか言わずか、神楽はその気持ちを汲み取ったように押し黙り、下唇を噛む。