第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
『無事です…!真っ暗で何も見えませんけど…いだっ!!』
商品が所狭しと並べられている店内が仇となり、どこかの棚に腰をぶつけてしまう神恵。
とにかく1人は危ないと踏んだ神恵は小さな明かりを頼りに、桂がいた方向へゆっくりと慎重に進む。
携帯のライトだけではさすがに心もとない上、どこに誰がいるのか、そもそもどこにいるのかすら、すぐにはわからない状況下に、桂もただじっと立ち止まり、声を出すことしか出来なかった。
皆がガヤガヤと騒ぎ、人によっては先程の神恵のようにどこかにぶつかったのかガシャン!と物音も様々な店から聞こえてくる。
そんな中、床の方から微かに先程にはなかった静かな音が聞こえてくるのを神恵は察知した。
『桂さん、なんか聞こえませんか。ザワザワというか、何かが走り回ってるみたいな…。』
「アキバの人々が混乱している音ではなくてか?」
『いえ…もっとこう…小さな音で…トタトタと走り回るような…近づいて来てるんですその音が』
その時である。足元から不意にチュー!と鳴きながら光を放つ毛玉のような生き物がとても素早いスピードで店の奥から電気街を抜けて走り去っていった。
その生き物は先頭の1匹を境にどんどんと出てきては同じ方向に走り出していく。
「なんだこれは!光る…ネズミか…?それにしては大きすぎるのではないか?店主殿、この店掃除は行き届いているのか?」
「ひっ…ひぃ!掃除なら毎日しとるわい!それにこんなに大きいネズミは見たことがない…!」
『そんなことはどうでもいいんですよ!!なんか光ってる…っていうか電気を帯びてるみたいな…。もしかして、停電の原因これだったりしません?!』
動物好きの桂も流石に光っていることを除けば、どう見てもドブネズミの動物に動揺する。
動揺しつつも今の状況と照らし合わせ、もしかしたら、と神恵は発言した。
『店主!この店の送って何があるんですか?!』
「店の奥には倉庫と…アキバ全体の中枢…つまり管理システムくらいじゃよ!」
完全にそれだ!と神恵は大きな声を出す。
管理システムがあるということは、アキバの電力も管理している。
そこから出てきたということは、このネズミはどうやらアキバの電力をショートさせたらしい。