第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
予期せぬ形で意気投合してしまった天然バカ2人。
地下都市アキバはその名の通り、地下に存在するため陽の光の当たらない土地。気づかないうちに時間は既に正午を周り太陽も空高くに上がっていた。
そんなことはいざ知らず、ゲーム機を探すことに熱中する2人、アキバにある無数の店を大型量販店から個人経営の店まで洗いざらい回っていく。なかなか見つからないものの、レトロゲームの話題でひと盛り上がりしながら道中を過ごしていた。
「うーん…やっぱり、なかなか見つからないですね〜。ソフトは沢山あるんですけど…」
神恵はこれからやりたいと思っているZwitchソフトを紙袋いっぱいに買い込み、もはやZwitch本体の金額をソフトで越していた。
「神恵殿。そんなに買い込んで全てやり終えることが出来るのか…?」
神恵の両手の紙袋を考え込むように凝視し、心配そうに見つめる桂。
それとは対照的にニコニコと楽しそうに買ったソフトを1枚1枚出しては眺めながらZwitchのために神恵は練り歩いていた。
『勿論ですよ!私、職業柄宇宙船での移動時間が長くって…。その合間にやるとやり込み要素まで一気に終わっちゃうんですよね…!』
目をキラキラさせながらゲーム一つ一つの楽しさを語り出した神恵を見て、相当ゲームが好きなんだなと桂は少しほくそ笑んだ。攘夷志士とはいえ、危害を加えてこない天人に対しては友好的な桂である。
そんな他愛もない会話をしながら歩いていると、アキバの電気街の奥にとある商店を見つけた。
奥まった路地の突き当たりに存在するその店は、主にパソコンの部品やコードを売っているような個人商店だ。しかし、そこの一角に燦然と輝くものがショーケースの中にひとつ。2人が探し求めていた……
「『バーチ〇ルボーイ!?!?』」
思わず神恵はズコッとこける。どう考えてもVBを発見する方がZwitch探すより難易度高いだろ…と言う眼差しでありながら、ゲーマーとして初めて見た実物に少しだけ胸が踊る。
一方桂はまるで新作のゲームを見るような眼差しでVBの箱をショーケース越しに張り付いて見ている。
視線を外すとそこにはレトロゲームの数々がショーケースだけでなくその一角一面にずらりと並んでいる。
どうやらレトロゲームを多く品揃えている店のようだった。