第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
「…神恵は元気にしてるアルカ…。」
泣きそうな目をした神楽は消え入りそうな声で問いかけた。どこか照れくさそうで、寂しそうな姿だった。
「えぇ。それはもう私の胃に穴が開きそうなほど元気ですよ。でも妹さん、あなたがそんな顔をしていたらきっと悲しまれると思います。まぁ、元を辿れば神恵さんのせいですけど…。せめて寂しい思いをさせるな、と1発殴り掛かるくらいで構えてあげてください。」
神楽は唇を噛み締めて、零れそうな涙を裾で拭った。その後、人が変わったように目に光が宿り、ニヤッと笑う姿に瑠樺は神恵の笑い顔と重ね合わせた。
「当たり前ネ。1発どころじゃ済まさないアル。…それと、私のことは神楽って呼ぶネ。お前もさんざん神恵に迷惑かけられて来たみたいだからナ。」
お互い何かと神恵からのしわ寄せをくらい、それでもなお神恵を慕ってきた2人は、立場や年齢は違えど随分と息が合うようだった。少しだけ場の空気が和み、やっと銀時と新八は少し溜息をもらした。
「ちなみに、その神楽ちゃんのお姉さんってやっぱり神楽ちゃんに似てるの?」
新八はこの和んだ空気につかさず話題を振った。単純な興味でもあるが。
「私とまだ暮らしてた時は顔と性格似てるってよく言われてたネ。でも、どちらかと言うと毛根はパピー似ネ」
少し嘲笑うように得意げに神楽は語り出した。
「それハゲちゃってるよね?そんな小さい頃からハゲちゃってたのお前のねーちゃん」
「ややこしい言い方しないでください!いもう…神楽さん…。決してハゲてないですからね神恵さん。黒髪なので確かに父の遺伝子だと気にはされてましたが…。今の顔つきと神楽さんの覚えている頃とは変わっていそうですが、確かに今笑われているお顔はそっくりですよ。」
神楽は少し照れくさそうに笑った。小さい頃の神楽は神恵に懐いていたこともあって、嬉しさが表立った。
「神楽さん。もし良ければ団に入る前の神恵さんの小さい頃のお話聞かせていただけませんか?いつも気になっていたんです。」
そういうと神楽はもっとにっこりと笑った。胸張りをバシンと叩いて自慢げに答える。
「もちろんネ!なんでも聞くヨロシ!」
先程までの元気のなさとうってかわってノリノリな神楽であった。