第13章 旅行
「お前はなんでここにいるんだ?」
「バカンスよ。教会美術が好きで、前回任務に来た時にここの教会が気に入って。
今回は何日か前に来たの。
前回来たときは特に問題もなく終わったのよ。
でも今日、異変に気づいたときにはもう連絡手段がなくて…あなたたちが来てくれて助かったわ。」
つい一時間ほど前に死体が屍人になって村人を襲いだして村はパニック状態。
けが人も多数。
マリアは医師を持っていないから応急処置のみ施した状態。助けを求めようと連絡手段を探していた最中騒ぎが聞こ得たので向かったところフジモトたちを発見したそうだ。
フジモトはじっとマリアを見つめ話を真剣に聞いている。
ワクワクしながらフジモトを見るフールと、ニヤニヤしているヨハン。
"「綺麗な方ですね。」『(うんうん。)』"
すごい勢いで頷くフール
声には出ていないが、なにか通じ合っている二人を横目でチラッと見てフジモトはうんざりした様子で溜息を吐いた。
「はぁ……」
「??教会に入りましょう。村人もここに避難していますし」
教会内に入った。
「ほぅこれは美しい教会ですね。」
ヨハンの一言は芝居がかったセリフのような口調だ。
そんなヨハンの肩に乗っていた猫は勢いよく飛び降り聖堂内を一気に駆け出した。
「あっ!!」
「あぁ心配いりませんよ。賢い子ですから教会を壊すことなんてしませんよ、ちゃんと戻ってきますし。」
「そぅ…ですか。」
「で、探してたっていう連絡手段は?支部に連絡は入れられたのか???」
「いいえ電話線も切られていたし車のダメになってたわ」
「ずいぶん賢い屍だな」
「何か特別なのっかしら??大物が裏にいる?腐の王(アスタロト)とか??」
「アスタロトねぇ…」
フジモトもヨハンも興味がなさそうにしているのでマリアは少し疑問を感じた。
教会を見渡し奥へと進んでいくと片隅に村人が集まっている。
何人か怪我人がいるらしい。
「応急処置しかできていないの、フジモト、医工騎士(ドクター)だったりしない?手当ができないかしら??」
「仕方ねぇな」
ドクターを持ってるフジモトは手当てを始めた。