第13章 旅行
シスターの格好をした女性に獅朗は腕を引かれ、メフィストの方へ向かって叫んだ。
「そっちのアナタもこっちへ!」
メフィストはやる気のない様子でついていく。
フールは走り出したメフィストから落ちないようにスッと肩に移った。
前を走って女性の後をついて行くと教会に出た。
教会の周りには低位だが結界が張られている。一同は教会の敷地に入った。
「うまく巻けたわね…ここは結界が張ってあるから安全よ。あなたたちは??」
女性は少し安堵した様子で尋ねてきた。
「日本支部のフジモトだ」
「マリア・ラモーテ 上手二級 詠唱騎士(アリア)よ」
メフィストとフールは耳をピクピクさせながら話を聞いてる…
フジモトはマリアを見つめ
「マリアか。俺らどこかで会ったか??」
"「『獅朗、藤本の言ってた人この人だ! 」』"
メフィストとフールは心のなかで満面の笑みを浮かべながら顔を合わせた。
「覚えがないわ」
マリアがそういうとフールはがっかり。
"『あらー…覚えられてないのね…』"
フジモトとマリアの会話を遮り、
「私もよろしいですか?」
演技掛かった仕草でお辞儀をしメフィストは自己紹介をした。
「私は彼の後輩で下二級のヨハンです。これは私の猫、フールです。」
肩に乗っている銀色の長い毛並みの猫がタイミングよく
”にゃ~”
と返事をしは尻尾を振っている。
「まぁ綺麗な子ね…触っても??」
「ええ」
フールに手を伸ばしそっと頭をなでるとゴロゴロと喉を鳴らしている
「かわいい…で、日本支部の人間がなぜここへ?」
「国際親善の越境任務だ」
フジモトはけだるそうに頭を掻きながら返した。そんな彼とは逆にヨハンは愉しげに、
「任務を終えて最寄りの支部へ帰る途中途中ガス欠起こしましてね。歩いてきたんですよ。
だから装備も貧弱なんです。まさか立ち寄った村で屍に襲われるとはツイていませんね」
「……そうですか…」
少し考えうような間を置きマリアは答えた。