第12章 出会い
『ちょっと…獅朗??何言ってるの?私は仕事をしに来たのよ?』
獅朗はじっとフールを見つめ
「…………。頭からお前のことが離れない。
俺のものにしたいんだ…」
『クスッ……
魅入られちゃったの?私は悪魔なのよ。解ってる??聖騎士失格じゃない?』
「うるせぇ。お前も長く生きてるんだ、こうやって言い寄られるのは俺だけじゃなかっただろ?」
『……私は今まで人との関わりを避けてきた…メフィストと仲のいい貴方とは…と思って私は接してきたの…獅朗、貴方とはこんな関係になりたくないわ……。』
ーー っち。メフィスト……かよ…ーー
獅朗の手に力がはいった。
このまま無理やり自分の物にすることはできる………。
でも、それをしても意味がないな…フールに対する気持ちはそんな軽いもんじゃない気がする……。
なにも言わずじっと見つめ続けている獅朗。
『…獅朗…?』
名前を呼ばれハッとした。
「すまねぇ…まっなんだ?こっちが告白してるってゆーのに、お前が隙だらけだからいけないんだよ。ちょっとやり過ぎたな。わりーなっはははっ」
笑いながら体を起こし話す姿はいつもの獅朗に戻っていた。
『……そう…ね…。こっちもごめんなさい。今日はもう休むわね。』
フールは立ち上がり扉に向かった。
部屋を出ようと襖に手を掛けたとき
「…な…これだけは言っておくが…お前を思ってる気持ちは本当だからな…」
獅朗の言葉を背にして襖を開けた。
『……おやすみなさい…』
フールはそっと部屋を出ていった。
フールの出ていった襖を見つめ胡座をかいていた獅朗は頭を抱えていた。
「はぁーなにやってんだか俺は…」