第11章 休暇
静かにゴンドラが上昇していく。
室内には二人きり…
向かいに座っているフールは窓の外をじっと眺めている。
大人びた表情をみせたかと思うと子供のように無邪気に走り回る…
獅朗はフールのころころ変わる表情に胸を高鳴らせていた。
あぁ………このまま帰したくねぇな…
バレたらあいつが煩いだろうな
考えながら景色とフールとのこの空間を楽しんでいた。
ゴンドラは頂点も過ぎた頃フールはスッと立ち上がると獅朗の横に座ってきた。
『今日は急だったのに付き合ってくれてありがとね』
さっきまで子供のようにはしゃいでいたのが嘘のように落ち着いて放たれた一言。
薄暗いゴンドラの中で外の光に照らされたフールの笑顔は妖艶さを漂わせる美しさをより際立たせていた。
その笑顔をみた瞬間、獅朗は無意識にフールの唇を覆っていた…
『っん…?!』
唇を離すまいと頭の後ろに手を回し抑えた。
無理やり唇で唇をこじ開けて舌を滑り込ませフールの舌を絡めとる。
情熱的なその口づけは逃れようとしても無駄だった。