第9章 聖騎士
数日後…………
藤本は、正十字学園の理事長室にいた。
「ぐーてんたーく☆今日は授業がないので来ないかと思いましたよ。」
「まーな、余計な仕事押し付けられたら困るから来たくなかったんだけど、これ出さなきゃいけなかったから仕方なくだ!」
「そうですか。折角ですから、美味しいお茶でもいかがですか?」
昨日の任務の報告書を出しに来た藤本は本部に居たときの事を思い出した。
「いや…茶は……ってかそうだ!聖騎士に任命された日、お前と話していた美人はだれだよ?!」
「なんのことでしょう?」
「とぼけてるんじゃねえぞ。ずーっと二人っきりで話してたじゃねーか。」
「…………?
あぁ!フールのことですね?お会いしたことなかったんですか??」
「フール?……なんで会うんだよ?
………フール????
……ってあのフールか??悪魔の!?」
「はい☆その通りです。よくご存じで。あーそうですよね。聖騎士を賜ったのですから、フールの事を聞いたのですね。」
懐かしい話だ…………
もう200年も前のことになるか。
あのとき彼女の様子を見に行ったとき、迷いがあれば私は命を貰うつもりだった。
しかしそこにいた彼女はもう人間ではなくなっていた。
私も長く生きているが取り憑かれて悪魔になるケースは知っていたが、自身が悪魔になったケースは初めて見た。
それまで主としても彼女のことは【キライ】ではなかった。むしろ【スキ】だったのだろう。
しかし更なる興味が湧いた私は悪魔として生きていく術を教え、常に近くに置きたくなった。
これからは主としてではなく
私のものとして…
「まさかあの時、私が人間のためにあそこまでするとは…クックッ」
窓の外を見ながら思いに更けていた。
振り返り藤本に向き直した。