第8章 開幕
日も傾き初めて祭りもより賑わってきた。
賑やかな町に似つかわしくない建物の影から辺りの様子をうかがっている人影。
「そろそろ、時間だな…」
口角を歪め奇妙な笑みを浮かべていた。
その人影はそのまま闇に消えていった。
祭りのメインイベントの花火を見るために広場に人が集まりだした。
大きなモチーフの不死鳥と青龍が広場の中心に集まる人々を見下ろしている。
広場に殆どの町人が集まった頃にはすっかり日も落ちていた。
そろそろ花火の上がる時間だ。
花火の始まる直前に町の明かりが消え、辺りは暗闇に包まれた。
人々の期待が高まったその時。
「さぁ起きる時間だよ。」
どこからともなく聞こえた声。
刹那に雄叫びのような声があがった。
同時に悲鳴や叫び声が飛び交う。
広場の人々は身動きが出来ずパニックに陥った。
暗闇のなか恐怖だけが増していくのであった。