第23章 クロ猫
正十字学園町の門を潜ると橋がかかっている。
今日も橋のたもとの柱にちょこんと座っているクロ。
「クロ!おはよう。今日も頼むぞー」
‘ニャー’
門の警備委員も交代時間になると声をかける。
すっかりクロと打ち解けていた。
門番の仕事もすっかり板について、今日も張り切ってお仕事中。
ピクリと耳を向けるクロ。
気配を感じた方を振り向くと。
「よう!」
‘獅郎ー!’
獅郎は持ってきたマタタビ酒を掲げる。
ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねながら近づき、獅郎の足に体を擦り付けゴロゴロと喉を鳴らす。
橋から降りて階段になっている川辺に座り込む。
獅郎にマタタビ酒を注いでもらい酒盛りを楽しんでいた。
クロはフッとなにかを見つけた。
‘なー獅郎、他にも猫又住んでるのか??’
「いや?いないぞ。」
‘あこそ…’
クロは川の向こう岸にいる白い猫を差した。
「あーフールか。あれはちょっと特別な奴だな。猫に変身できる奴だな。」
‘へー’
フールが獅郎に気付いた様子。
獅郎は手招きをする。
フールはそれに応じて橋を渡ってきた。
「何してたんだ?」
『んー…見回り?』
「それ、嘘だろ?」
『まー暇だからお散歩という名の見回りね。』
「へぇーそうか。あぁまだ紹介してなかったな。クロだ。この間の猫又任務の。」
‘……’
『可愛いネコちゃんなのに凄く強いんだってね。クロ、門番を引き受けてくれてありがとう。』
‘おっおぅ。よろしくな’
どことなくぎこちないクロ。
「ん?どーした?」
‘なんでもないよ!!’
少しかおを赤らめていた。
『私も少しここでまったりさせてもらおうかな?いい??』
‘いいぞー’
1人と2匹で川辺で酒盛りに日向ぼっこをして過ごした。