第22章 決戦
「さぁ、それを渡せよ。」
『‘契約’じゃなくて、肉体を差し出してる時点でどうなのよ?それ、全然羨ましくないから』
足下が光り、魔方陣が浮き出る。
ロイは身動きが取れなくなる。
「!?」
『主よ、その者の首に石臼をかけよ、リヴァイアサンの住む深淵から二度と浮かび上がらぬように。』
「クソッ!」
『何も見えず、何も聞こえぬ、永遠の闇に閉ざせ。』
「ぐわぁぁぁぁぁ」
口から瘴気が溢れでる。
ぐったりと膝を付く。
ーハァハァハァー
『あれ?あんまり効かない?ホント相性が良いんだね。長い時間で馴染みすぎてるか…残念』
ロイは叫んだ。
「八候王(バール)の器だぞ。当然簡単に浄化されるものか!」
『何を誇らしげに。契約でもして従えてたら尊敬してあげたかもねぇ』
「なんだと?💢」
堰を切ったようにロイの発言は止まらない。
低い姿勢のまま剣を振り抜き足を狙うがフールは大きく後ろに飛び跳ね避ける。
「チッ、お前は解っちゃいないんだ。この力に加えてお前の剣が手に入れば私は最強だ。」
少しよろめきながらも、ゆっくりと立ち上がり…表情は喜びに変わっていた。
「ハハッ、あの時、死体の山を見て確信した。その剣の偉大さを。俺は嬉しかったなぁ。あの町の奴らが!奴らが皆、苦痛に顔を歪めて息絶えるその姿に!その力が強大なことが証明されたんだ!!!」
「その剣を早く俺に返せよ。」
手を差し伸べて…
「結局はお前は俺の策略で、あの町のやつら誰一人として守れなかったじゃないか。所詮ニセモノ当主なんだよ。」
奪いにかかるロイ、剣で応戦する。
ーキンー
ーキンー
激しく剣がぶつかり合う音と
ーザッー
ーザッー
地面を踏み切る音が続く。
ーズッー
一瞬のフールの着地が甘い隙を見逃さなかった。
「はぁぁぁあ!」
振りかざした剣から巨大な斬撃が向かってくる。
『!?』
『烈風を起こし、我を包み込め。ウィンディ』
ーー
風が壁のようにフールを囲い斬撃はその風に飲まれて消え去った。
『はぁーギリギリ間に合った。』
風が治まり、剣を構えたまま対峙する2人。
「なんだよ、躱されたか」