第22章 決戦
「全く。戦闘狂は困るねぇ」
ロイが呆れて歩きながらとため息をついている。
その後を距離をあけて歩くフール。
『目的、早くいいなさいよ』
フールの問い掛けに振り向き満面の笑みを浮かべ、両手を差し出してきた。
「そうだね、フール。その剣を私にくれないかい?」
『剣?』
腰に差した剣に手を添えた。
「そうその双剣、本来なら私のモノだからね」
『は?これが欲しい?そんなことなの?』
「そんなこと?」
ロイを取り巻く空気が変わる。
『そもそも、これは正統に私が受け継いだ…』
「違う!!!!お前は何もわかっちゃいない!」
「正統な後継者は私だったんだ!なのにお前が…お前が…」
怒りに震える。
「知らなかったか?俺はなぁ実の兄なんだよ。俺には素質がなかった…。母親の身分のせいでもあるな…お前が生まれてから俺は完璧に必要とされなくなったんだ…」
うつむき、イライラしていのか爪を噛み、ボソボソ言葉を紡いでる。
「そうだ…そうなんだ…」
『は?何を言ってるの?』
後半は何を言っているのか良く聞き取れなくなったフールは聞き直そうとしたが
眼球だけがフールを捕らえニヤリとした。急に大声を上げる。
「ふふふ…あっははは!!!!ある時、声がしたんだ。はははっそーさ。忘れもしないさ」
まっすぐフールを見つめとても揚々と語りだした。
浮き沈みの激しいロイの姿とは正反対に冷静にたたずむフール。
『悪魔…』
「そう。悪魔だよ。しかもただの悪魔じゃなかった。」
「私には優れた才能があったんだよ。」
『あなたを誘惑したのはだれ?』
「ふははっ。アスタロト。そう、アストロ契約したんだ」
『?!』
「私には八候王(バール)の受け皿になるこの肉体(カラダ)があったんだ。でも、そう簡単じゃなかった…やはり、体を譲れば腐食は早いが…。ははは…解ったんだよ…うまい方法を。そして手に入れた。この肉体を!」
次の瞬間、ロイの姿が消え、目の前に現れた。
ーーーガキーンーーー
「凄いだろう?」
咄嗟にロイの一撃を剣で受け止める。
ギチギチギチと互いの剣がなる。