第20章 獅子島
フールは地面に足をつけ体制を取り直し踏み込む。
ータッ!ー
『炎舞ーエンブー』炎が現れ剣を纏う。
ーブワァー
「ちっ!」
『あなたには“火”がお似合いでしょう?アスタロトの眷属さん?』
「それも承知か…」
『もちろん。翼炎剣……』
『火箭ーカセンー』
火が槍のように放たれる。
数本の炎がマルバスに刺さる。
「おぬしやるではないか…明日と聞いていたが来てるではないか…これなら楽しめそうじゃ…」
体についた炎を払い落とし攻撃をくりだす体制をとる。
「援護します!!」
銃を構えているイズミ
ーバンバンバン!ー
マルバス目掛け発砲したが弾は全て避けられた…
「飛び道具は小賢しいのぉ」
素早くイズミ前に移動したマルバス
「そしてお主は邪魔じゃ」
一撃。
殴られたその一撃でイズミはふっ飛ぶ。
「ぐはっ」
『相手は…わたしだっ!』
その隙に背後をとるフール
肩から腰にかけて切りつける。
「くっ…!いい動きじゃのぉ怪我を負わされるなんぞいつぶりか?…」
「愉快、愉快じゃ!」
負傷したマルバスの攻撃がさらに速さが上がる。
連続で繰り出される早い攻撃にフールは一瞬の隙を取られる。
『!?しまった!』
ニヤリ 「喰らえ…」
ードン!ー
マルバス攻撃した筈が肉体を殴る……
肉を切り裂く衝撃はない……
フールを守るように間に入ってきたのは…
「犬?」
メフィ犬のままマルバスを睨みつける。
「くっ!?なんだこの犬…?」
その迫力に怯んだマルバスは距離をとる。
自身の手を握りしめてからゆっくりと開く…
「……ただの犬ではないのぉ?このワシが震えるなど…」