第20章 獅子島
「はぁはぁはぁ」
「カッカッ!かろうじて避けたか…?」
顔の側面から血が流れ押さえている。
‘速い……今のはホントに危なかった。
まさか男の爪がかすっただけで耳がもげるとは…。
クソッ!なんて強さだよコイツ…’
強く押さえ止血をはかる。
対峙しているのは大柄の男。
息を切らすイズミとは真逆に平然とし苦しそうなイズミを見下している。
「はぁー他の奴ら同様、おぬしも弱いながら頑張るのぉ…」
「おまえが仲間を!?」
ドクンドクンと顔の横に心臓があるかのように波打つ。
痛みで目の前が眩みはじめる…
「あぁ知り合いか。残念だったのぉ…
おぬしはここでわしに喰われるのじゃ」
素早い動きでイズミに襲いかかる男。
‘クソッ…ここまでだ……’
死を覚悟するイズミ。
『たぁぁぁ!』
ージャキーンー
「っ!」
叫びと共に現れたのはフール。
剣1つで喰いかかった男の牙を振り払った。
『間一髪…』
「フールさ…」
『応急処置』
「は、はいっ」
大柄の男から目を離さず間合いを保ったまま指示を出す。
「…………」
振動の響く牙。
顎に手を当てる男は突如現れたのは女を観察する。
‘女….腰に剣を1つねぇ…違う奴か…’
不適な笑みを浮かべる。