第20章 獅子島
『境内の中見に行くよ?…メフィおいで?』
しゃがんでメフィ犬を呼ぶ。
「あっ!えっ!ここ登るんですか!フールさん!はやっ」
ちょこんと腕の中におさまるメフィ犬を抱きしめスタスタと先に進んでいくフール
少し登ったところでイズミは口を開く…
「綺麗ですね…長い階段だから大変かと思ったけどこれなら飽きずにすらすら登れますね。」
『………』
あまりの景色の綺麗さにイズミは愉しそうだ。
『着いたみたい…』
メフィ犬を足元に降ろした。
拝殿は朱色を基調とした色とりどりの装飾がなされその前の広場は灯籠で飾られていた。
お参りやおみくじなどをして楽しんでいる観光客も多くいる。
“本殿はまだこの先か…一般人は入れないのね…
”
「うわぁー下に見える景色も凄いですよ?」
声のする方を振り返ってみればイズミ以外にも何人か下の町並みを眺めている。
日が暮れだし島全体が赤く染まっていく。
次第にポツポツと灯りがつき初めてそれは幻想的な風景が広がっている…
“これだけの量のろうそく…そしてこの人の数……
あの時と同じだとしたら……”
ゾクリと自身の体の血の気が引くのがわかる。
『もう時間がない…』
「え?」
そろそろ拝殿、神楽殿、宝物殿に繋がるこの階段の灯籠にも火が灯される。
そして今日からは終わるまで島中の灯籠に火が灯され続ける…か。
神社全体は間違いなくあのろうそくを使っている。
境内の中に並ぶ灯籠に火をつけ始める神職。
灯籠からフワッと香りが漂う…
この香り…
『…獅子が今日、いえ明日。暴れるかもね…』
「獅子!?ここの獅子さまですか!」
『そう、たぶん人の姿をしてこの島のどこかで遊んでいんじゃないかしら?その遊びが祓魔師の行方不明に関係してないといいんだけど…その可能性は低い…かな』
「原因がここの守り神の獅子なんですか!?まさか…人間を守るんじゃ神様ですよ?」
『神、悪魔、精霊…人間が勝手に呼びなを変えているだけ。本質はどれも同じよ?彼らは自分の能力や本能、それか主にしたがって動いてるだけだから…』
「そんな…」
『さて、ここから見えるあの2つの地区かな?ずっと灯りがついてるみたい。偵察にいこうか?』
「はい!了解です。」