第20章 獅子島
「あぁ。それか、誰から聞いたんだ??そうなんだよ。今年の灯籠の中のろうそく!いつもは伝統あるこの島のものなんだか、新しいのが入ってきてな。安価だし買い換えてる所も多いって話だ。うちじゃーやっぱり伝統を守りたいからね。用意してないが…」
『そのろうそくってどのくらい出回っているの?』
「んー確か獅子さまの本社は全てそれに切り替えたそうだな?あとは各々地区で決めてるから…詳しいことまではわからないよ。」
『そうですか…』
「……嬢ちゃんたちどんな仕事してるんだい?」
おじさんが不思議そうに訪ねてきたがフールはニコッと笑顔で返す。
『秘密ですよ?ありがとうございました。今日も美味しかったです!私たちはこれで…またゆっくり遊びに来ますね』
「…………そうか!なんだかわからんけど、頑張ってきな!」
「あっ!ごちそうさまでした!」
イズミは慌てて立ち上がりお金を渡すとフールの後に着いていく。
店の外に出ると入り口の横に待機していたメフィストは少しの間で看板犬のようになって他のお客さんに囲まれている…
出てきたフールに気付きメフィストはお客さんを無視し尻尾を振りながら走ってフールの横に付いた。
フールは早歩きで進み出す。
「フールさん…どこに行くんですか?」
「しかもさっきのろうそくの話!なんでそんなこと知っていたんですか?」
店での会話の意図がわからなかったイズミ。
今回の任務はあまり情報がなかった筈なのにフールさんは何かを知っているようで不思議だった。
『昔ね….似たような事件があったから。ちょっと探ってみただけ…もう1ヶ所いこうか?』
“魍魎。屍人。祭典。蝋燭。そして……私…
間違いない…
これはあの時と関係している…
何か止める方法はないかな…”
人混みのなかを抜けて着いたところは神社の入り口。
大きな鳥居が構えていた。
人の溢れる鳥居を前にイズミは声が漏れる…
「凄い…」
『………』
「凄いですねこの灯籠。綺麗だ…」
本殿に繋がる階段に灯籠が並んでいる。
昼間でも賑やかな祭りの中心となるこの場所