第20章 獅子島
『うん。よろしくね』
イズミは屈んでメフィ犬に手を差しのべる
「可愛いわんちゃんですね?使い魔ですか?」
プイッと顔をそらして離れていってしまう
「あぁ…いっちゃった」
クスッ
メフィストが使い魔って懐かしい。
今回は使い魔としてたくさん働いてもらおうかな?
2人はどこかに歩いていってしまうメフィ犬を見送る。
『えぇそう。可愛い子なんだよ』
「あれ?どこかに行っちゃいますよ?」
『あーほっいて平気だよ。気まぐれワンコだから。』
フールの空気がピリッと切り替わる。
『…さて、現状なにか解っていることはある?』
イズミは立ち上がり姿勢をただす。
「いえ。新しいことはなにも…どう動きますか?」
『そう…ちょっと気になることがあるの…いいかしら?』「ハイ!」
2人は街中に向かって歩き出した…
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賑わう町家を進むと以前立ち寄った団子屋に着いた。
いつも通り店先で団子を焼いているおじさんは忙しそうだ。
人がはけるのを待っているとおじさんはこちらに気付いた。
「お!この前の嬢ちゃんじゃないかい?最終日見にこれたんだな!良かった良かった!今年は来れそうにもない雰囲気だったから驚いたよ!はっはっはっ!あれ?この前のお兄さんはどうしたんだい?」
「!?おとうさん!ダメだよ!」
店内から様子を伺っていた娘さんが走って慌てて会話を止めに入る。
その様子を見たおじさんはフールとイズミ、娘を交互に見やり何かを察する。
「おっ!あっ!?すまねぇ」
『ん?』
「この前?フールさん誰かと来たんですか?」
フールに質問するイズミ…
更に焦る娘とおじさん
『ん?来たけど…』
ふっと足元をみるといつのまにか戻ってきたメフィ犬。
その表情を覗くと…
会話なんて気にもせず回りを見ている。
お団子食べたいのかな?
尻尾を振ってフールを見上げる。