第20章 獅子島
バタン!
ノックをせず勢いよく扉を開いた。
『メフィスト!』
「おわっ!?びっくり…っどうしたんですか?」
血を浴びているフールの姿に驚く。
目を深紅に変えて息を切らしてズカズカと部屋の中央まで進んできた。
『…私が獅神島に行ってくる!今すぐ!
他には誰も向かわせないで!もう、遅ぃ「冷静になりなさい!」
捲し立てて話すフールの肩に手を添え落ち着かせる。
深紅瞳をグッと捉える。
内心今までになく鬼気迫るフール様子に驚いていた。
『…フゥー…』
呼吸を整え瞳の色が戻る…
「そう…どうしたんです?」
『さっき下級祓魔師が…あの獅神島から戻ってきた祓魔師が私の目の前で屍人に…あの時と似ているの。しかも誰かが私を呼んでいる…誰かじゃない…あれは間違いない…私に見せつけるために下級祓魔師を使って…』
拳を握りしめる……
『殺めたくなかった…でも助ける方法がない…もう1人負傷した祓魔師…彼もまた同じようになるかもしれないけど、いつ?…きっかけがわからないわ…』
「似ている…とは言っていますがほぼ確定しているんじゃないですか?」
『………』
腕を組み顎に手を当て考えるメフィスト…
「ダメです。あの時と同じなら貴方1人では行かせられない!」
顔だけをフールに向け凄んだ。
フールは怯むことなく返す。
『メフィスト。でも私が行かなきゃ…!』
「………。行かせないとは言ってませんよ?1人がダメなんです。」
顎に添えてあったら指をたてて左右に振りフールの鼻先に触れた。
「狙いはあなたの様ですから。行けば早く方がつくでしょうし」
『でも、他の祓魔師は巻き込めない…』
「そうですね…ではこうはどうでしょう?…」