第19章 お出かけ
日も暮れてきて。
町には灯籠で明かりが灯る。
この期間は街灯には電気をつけず灯籠の明かりだけで過ごすらしい。
ゆらゆらと揺らめく炎が幻想的で美しい。
灯籠に導かれ歩いていくと獅子様が祭られている神社の入り口に着いた。
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獅子の姿をした神様は疫病をもたらす力とそれを治す力を持ち、工芸に関する優れた知識も有しているとされる。人の姿にもなる。
ここの祭りは21日間続く。獅子様は夜を好んでいるらしく基本的に祭りは日暮れから夜明け。
1日 本殿での祈祷が始まる。今日より21日間のお祭りを開始することを神様に報告し、9日にここに降りてくるようにお願いをする。
3日 奥にある2本の神木の前で護摩を行う。2つの火を本殿で合わせ3つに分ける。その後それぞれの神楽殿、宝物殿、拝殿に灯す。
7日 宝物殿にある宝物を公開する。
9日 神楽殿にて巫女が舞を行う。獅子様を御呼びする。
15日 参拝。降りてくださった獅子様にこの島の住民は参拝をする。ここから毎日、日が暮れると同時に神楽、太鼓、花火が鳴り響く。
21日 最後の夜祭りのクライマックス。夜明けの直前に獅子様を御送りする御帰祭が行われ祭りが終わる。
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神社の入り口から中へ続く階段に並ぶ灯籠を眺め佇む。
前を向いたままメフィストに悪戯っぽく訪ねてみる。
『お参りする?』
「冗談でしょう?しませんよ」
『だよね。もう帰ろうか?』
「そうですね。行きますか…」
入り口を背にして2人はまた歩きだした。