第17章 青い夜
カツカツカツ…
薄暗い誰もいない檻の並ぶ通路を進む。
中に閉じ込められているのは1人…
その姿を確認するとこちらを背にして横になっている。
「お久しぶりです。藤本。」
どこか楽しそうに笑みを浮かべ声をかけた。
「メフィスト!何があった!」
声に反応した獅郎はガバッと起き上がり鉄格子を両手で掴む。
「サタンの襲撃です」
「っ!?」
メフィストは牢の鍵を開けると獅郎は無言のまま扉を押して出てくる。
その場から外に向かい歩き出す2人。
メフィストは話を続ける
「彼は自分の妻と子を奪い返しに来たのです。世界中の祓魔師が犠牲になりました。今すぐに動ける祓魔師は貴方1人です…」
「これは…」処刑場に着く。
青い炎が残る人の姿が広がる。
そこにユリの姿はない。
あまりの惨状に言葉が詰まる獅郎。
そんな様子を気にすることもなくメフィストが口を開く
「この様子じゃ器は手に入らなかったようですな。そうなるとユリを助けたのは…」
「…フールか?」
「でしょうね?」
「さぁこれから貴方はどうします?」
「どうするも…ヴァチカン命令だ。殺しにいく他はない」
「そうですか?ではこれを。」
「これは、あのときの」
「倶利伽羅です。悪魔の子どもを殺すにはきっと役に立つでしょう」
近くの扉に向かって歩き出す。
「…。2人が向かうとしたら…」
獅郎は目の前の扉に鍵を差し込んだ…
ーーーーー回想ーーーー
『大丈夫。獅郎は子どもを殺さないよ』
「冷徹な彼ですよ?」
『そうね。でも、心は暖かい人よ』
「そんな風に彼を思っているなんて妬けますね?」
『そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?』
「私と賭けますか?彼が彼女と子どもをヴァチカンの命令通り殺すかどうか」
『ふふふっ今さら私の何を賭けるの?』
「そうですね……」
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