第17章 青い夜
ユリを引きずるよう運ぶ下級祓魔師たちは処刑場に向かう途中すれ違う格上の祓魔師たちが慌てふためていている。
ここだけではない。
ヴァチカン全体が慌ただしい雰囲気になっていた…
「何かあったのですか?」
「世界中の支部で祓魔師が突然発火するという報告があった。しかも青い炎でだ」
「焼かれるものは階級なんぞ関係なくだ」
「まさかっ!上級の方たちもですかっ!」
「あぁ…間違いなくあれはサタンだよ。器を求めているんだ」
「ここに現れるのも時間の問題だろう…」
それを聞いた下級祓魔師は青ざめる…
「とにかくこいつが狙いのようだ。早く処刑を済ませなければ
…」
処刑場につきユリを担いで処刑台に上がり柱に体を縛り付ける。
「いいから早くしろ!」
下級祓魔師は手が震えてうまく結べない…
いつ自分にも炎がやってくるかと怖くなる
恐怖に耐えきれず泣きながらその場を走り去る…
「おい!待て!!」
ーークソッ!逃げた下級祓魔師を気にかけている間もない…早く終わらせるしか…ーー
自身の震える手をグッと握りしめ作業を進める。
ボッ!「うわぁー」
ボッ!「ぎゃぁー」
遠くで爆発音のような音と叫び声が上がる。
声の上がった方を見れば青い炎が上がっている。
「もう来たかっ早く!早くっ!」
意識を失って俯いているユリを見る上級祓魔師
「こいつ…何てことを引き起こしやがったんだ」
青い炎は暴走を続けるが器になり得る体は無くただただ炎で焼かれる祓魔師。
叫び声でユリが目を覚ますと辺りが青い炎に包まれていた。
青い炎の元になっているのは祓魔師たち。
微かに息のある者からはうめき声が上がっている。
目覚めたユリの胸ぐらに掴みかかる上級祓魔師
「おまえ!サタンに何を…」
ドクン…
「ぐっぁわぁぁ」
胸ぐらに掴みかっていた上級祓魔師が目の前で炎に包まれる
「!!!!…サタン?…」
「逃…げろ…この体…ももたな…ぃ」
「いやぁー!」
悲鳴を上げ泣き叫ぶ。