第17章 青い夜
1人部屋の中央の椅子に座るユリ。
両手には錠がかけられて1つに纏まっている。
窓の外に浮かぶ月をボーッと眺めている。
部屋の扉の側に下級祓魔師が1人控えている。
下級祓魔師は廊下からの騒音に気付き銃を取り出し構えた。
ーーバリーンーー
窓の割れる音が鳴り響く。
ユリは立ち上がり急いで窓に向かった。
「おまえ!大人しくしていろ!」
怒鳴られてもかまわず外を覗いた。
音のする方には2人が争っているのが見える。
片方は自分の警備にあたっていた上級祓魔師のようだ。
もう片方は全身をマントで隠してている。
「だれ?」
マントを纏った人物が剣を振るう。
放たれた斬撃は水の刃となり石柱を真っ二つに割る。
勢いでマントがはらりと外れた…。
その人物にユリは驚きを隠せなかった。
「!?フール?!」
ーバンッ!ー
扉が大きな音をあげ勢い良く開いた。
部屋の中にいた2人は驚き扉の方へ振り向いた。
騒ぎを聞き付けた上級祓魔師が慌てて入ってきた。
「おい!無事か?」
「はい。こちらは何事もなく…」
「ザイオンさんが悪魔を引き付けている間に移動だ!」
「はい」
「急げ処刑を行うぞ命令が下さった。」
数人の下級祓魔師がユリの脇を抱え乱暴に引く。
「来い!」
体をよじり抵抗するユリ
「待って!外に…」
「大人しくしろ!」
ガンッ!
頭を殴られ景色が歪む…
ーーー悪魔が助けにきた?フールが?悪魔なの?ーーー
ユリは意識を失った。