第17章 青い夜
『くっ!馬鹿力がっ!』
浴びたガラス破片を払いながら立ち上がる。
『仕方ない…』
右腰に手を当てる。
『水龍…』
どこからともなく剣が表れる。
ーー刀を使うまでの戦闘は久しぶりーー。
ニヤリと笑みを浮かべ刀剣を構える。
「はっ!悪魔のくせに刀を使うとは!しかもそれは魔剣だな!そうかそうか!!」
『…蒼波…』
剣を振り抜くと斬撃は水の刃となり向かってくる。
ーシャキーンー
辛うじて避けたザイオン。
避けた水の刃は石柱を真っ二つにしている。
ザイオンの表情が変わる。
攻撃の勢いでマントが落ちた。
「やはり…ただの悪魔ではないな!」
『さっきからうるさい…良くしゃべる男だなっ』
「ん?お前は見た顔だな…祓魔師か?」
落ちたマントに目をやる。
『あー取れちゃった。
なら仕方ない…私が貴方を“排除する”』
剣をを構える。
「本気になったな…ではこうしようじゃないか…」
ザイオンもナックルを一回り大きいものに変える。
「いくぞ!くわぁぁー!」
ーーキーンーー殴りかかってくる拳を剣で受け止める。
『くっ重っ』
両手で続けざまに殴りかる。
金属と刃がぶつかり合う音が響く。
「はっ良く受け止めているスピードもなっ」
『だからうるさいってば!』
蹴りを繰り出しザイオンは後方へと吹き飛ぶ。
体制を変え両手で地面を掴みズリズリ進む勢いを押さえた。
ザイオンの息は上がっている。
「ハァハァこれだけ攻撃をしてもびくともしないか…上級悪魔め」
2人の距離が開く。
フールは一息吐くと再度剣を構える。
地面を踏み込み攻撃を仕掛けようとした時、突然ザイオンは青い炎に包まれた。
『!?』
「うわぁぁぁぁぁあ!」
その場に倒れこみ火を消そうとのたうちまわる。
火の勢いは変わることなく燃え続ける。
ザイオンの目にフールの姿が入る。
「お…まえ…炎ま…で…悪魔め……」
手を伸ばし力尽き動かなくなった。
ーーサタン!?ーー
『体を探しているのかっ!?ユリのために…』
走り出すフール。
割れた窓から部屋に向かう。
しかしそこは既に結界が解かれユリの姿は無かった…
『チッ!移動したか!』
処刑場に向かい急いだ…