第17章 青い夜
闇に紛れてユリのいる部屋に向かう。
ーー死刑が決まったにも関わらず牢獄じゃない?ーー
他の部屋とは違い離れのようになっている塔。
ーー処刑場に近いのか…ーー
ーーそして…まぁここなら牢獄と変わらないかーー
扉に手をかざすとバチッと火花が散る。
部屋には結界が張られていて中に入れない…
『これのため…。 ……?……』
背後から人の気配。
横目で様子を伺う。
「そう。魔除けだ…その様子じゃ入れないやうだな。助けにきたか?悪魔め…」
不適な笑みを浮かべる体の大きないかにも力自慢そうな男。
手にナックルをはめながら笑みを浮かべる。
『………』
「どうやって紛れ込んだのか…まぁいい。お前はここで排除する。この上一級祓魔師ミケル・ザイオン様が相手をしてやろう!心配するな。苦痛なく祓ってやる」
ザイオンは構えた。
一瞬見えた瞳が鋭く紅く光る。
『…殺れるもんなら……』
振り向き様に回し蹴りを繰り出す。
『殺ってみな』
鈍い音を立てぶつかるが、片手で防がれる。
「はっ!良い蹴りだ…しかしっ」
すかさずパンチを繰り出す。
「俺には軽い!」
動きを読みきっているフールは軽々と繰り出される打撃を、流していく。
「はっはっはっ!やるじゃないか…これならどうだ!」
今でとは違う速さの打撃が来た。
咄嗟に腕をクロスして防御をするが体が吹き飛ぶ。
ーバリーン!ー
背中から窓にぶつかりそのまま外に出る。