第16章 捜索
メフィストは目線だけで様子を伺った…
変わらず俯いたまま顔を上げようとはしなかった。
「あーでも、今までに一度だけ悪魔か人間かと気にしたことはありますね」
『そうなの?』
フールは顔を上げメフィストを見た。
メフィストは立ち上がりベッドに座っているフールにゆっくりと近づいた。
「私は…初めて出会ったあの日…………」
『???』
ベットに座っているフールの目の前に立つメフィストを見上げ首をかしげる。
メフィストはフールを見下ろす。
見つめ合う。
手が伸び指だけでソッとフールの左ほほを撫で爪が微かに擦れる。
「あの日からから貴方に対するこの気持ちは単なる興味かと思っていたのですが…
それは初めての感覚で解っていなかった。
その気持ちの名前を…。」
「貴方と一緒にいる度に引っ掛かっていた。
人間ということ…
いつか尽きてしまう命があることを惜しいと思っていた。
そしてあの日貴方にとっては残酷だったかもしれないが私にとっては幸運だった。
貴方が悪魔になってその体はゆっくりと….」
頬を撫でていた指先はゆっくりと輪郭をなぞり顎にたどり着く。
「そう、ゆっくりと時を刻むことになった。
そしてそれは私と長いときを一緒に居られるようになったのだから」
『メフィスト…』
「こんなことを言うと貴方が傷つくと思い言うつもりはなかったが、言わせてもらう。
フール、私はフールが悪魔になったこと心の底から嬉しいと思っている」
メフィスの長い指に上を向かされ、色気の含んだ瞳に捕らえられて動くことが出来ない…
メフィストはそのままゆっくりとフールの唇にキスを落とした。
『んっ…////』
「愛してます。」
「悪魔がこんなことを言うのはおかしいですね…」
『///可笑しくなんかないよ///』