第16章 捜索
無限の鍵を使い私室に直接帰宅した。
荷物を下ろし上着を脱ぎ、シャワー室に向かった。
シャワーを浴び終えバスローブに身を包み真っ直ぐにベットに向かい倒れるように横になり枕に顔を埋めた。
人間と悪魔が恋に落ちる。
ね…私も解らなくはないかな…
ーーーーーーー
「悪魔だ人間だって分けて考えるからおかしなことになるんじゃないですか!」
ーーーーーーー
2人の夢…
ゲヘナもアッシャーもない共存できる世界か…
考えたこともなかった……
凄いなぁ…
悪魔とバレないように過ごしてきた200年近く、深く人とは向き合えなくなった空しさもあった。
ユリが言うように解り合える日が来たら…
ーコンコンコンー
静かな部屋に扉をノックする音が響く。
返事をしなければと思うが動けずに横になったままでいた。
少しの間をおいてドアを開く音がした。
ーー返事してないけどなぁ…入ってくるのは…ーー
扉に目だけを向けるとやはり部屋に入ってきたのはメフィストだった。
「おや?そんな格好をして、もうお休みですか。」
『………』
枕に顔を埋めたまま動かない。
そんなフールを気にもせず部屋の中へとズンズンと進むメフィストはフールのいるベットの近くにあるソファーにドカッと腰を掛け足を組んだ。
「今日は例の彼女の所へ行ったのでは?」
『………えぇ』
重くなっていた体を無理やり起こしベッドの端に座り直した。
『人体発火……』
「はい?」
『今回の件の最初のきっかけ、人体発火の原因はサタンだったわ…』
「まさか!!!!!
とうとうアッシャーに体を探し初めていたとは!?
これは何か大きなことが起きるかもしれませんね」
両手を上げ組んでた足もほどき大袈裟なくらいに驚いている
『メフィスト…貴方も知らなかったのね…』
メフィストは前屈みになり自身の足に肩肘をつき微笑を浮かべる。
「そうですね。私も全てを知るわけではないですよ?
で、他にも何かありましたか?」
チラッとメフィストの様子を伺ったフールは視線を足元に戻し、ふっともの悲しげに微笑んだ。