第16章 捜索
「探したぞユリ!こんな山奥に引きこもりやがって。」
「帰るぞ」
獅郎と目が合うとユリは口を開いた。
「ヴァチカンには戻らない。私の家はここですから。」
『…ん?…』
抱きついた体を離しユリの後ろに姿を隠している雪男(スノーマン)と小鬼(ホブゴブリン)に微笑みかけた。
“かわい…ユリに懐いてるのね”
「お前、町でなんて呼ばれてるか知ってるか?森の魔女悪魔に魅入られた女。祓魔師の端くれならこれ以上は悪魔と馴れ合うのは寄せ。」
強い口調でユリに話す獅郎に、怯えたのかユリの足元にいる雪男(スノーマン)が足にギュッと抱きついて心配そうに見上げている。ユリはそんな様子に優しく頭に手を起き撫でる。
「悪魔だ人間だって分けて考えるからおかしなことになるんじゃないですか!」
「『………!』」
獅郎はたばこを咥えたまま動きが止まる。
「とにかく!悪魔も人間に危害を加えるとは、限らないんです!解り合えるんぁから!ここにいる子達は私の大切なお友達です!」
走って小屋に入ってしまった。
「はぁー。いったん出直すか?」
『うん…そうだね…』
来た道に向かい歩きだす獅郎。
後からついてフールは振り返り小屋を見つめる
『ユリ…』
「おーい何してる?いくぞ!」
『うん…』
2人はヴァチカンに帰っていった。