第16章 捜索
聞かれたのはユリのについての事だった。
言われてみれば、日本支部に来てからはヴァチカンにいるユリとはあまり連絡をとっていなかった。
最近は…………………
いや、もう数年たつかも……
そう伝えると最近、獅郎を見かけなくなった理由はユリを探しているからだそう。
ユリが任務から戻ってこず、連絡もとれなくなっている。
それが、もう1年近くになるらしい。
獅郎に教えてもらうまで私はなにも知らなかった…
驚きのあまりバッと立ち上がり体は強ばり構えてしまう
『!?そんなことが起きてたの…ね…知らなかった…』
仲の良かったユリの失踪。
これにはあまりにもショックを受けた。
最後に派遣された周辺を適当な團員で近くの任務ついでに捜索はしていたらしい。
そんな状況が数ヵ月続くとさすがにユリの父でである枢機卿は本格的に捜索を願い出た。
しかし見つからず打ちきり。諦められない大司教は獅郎に捜索の命令を個人的に頼んで来たらしい。
そんな話を聞かされればフールは心配でたまらなくなった。
今自分に出来ることはなんなのだろう?
仲の良かったユリ。
獅郎と同様にこの前の集まりで会えるかな?とは思っていたのだが。
見かけなかったのは別の仕事を任されたんだろうなと、特に気にも止めていなかった。
なにも知らなかった自分が憎らしい…
もっと連絡を取っていればと後悔した。
出窓の枠から落ちるように降り
ポンッ☆
人間の姿に戻った。
『私も行く』