第13章 旅行
マリアは屍番犬を召喚し獅郎に襲い掛からせる。
「私の勝ちね!!」
扉の陰からフールは飛び出した。
腕の入れ墨にむけて翼炎剣を抜き炎を放った。
マリアの腕の入れ墨は焼けて屍番犬が消える。
「 ……ぎゃあぁ……!」
腕に強烈な痛みが走る。
マリアはその場に崩れ落ちた。
『残念。殺せなかったね。』
「おう、サンキューな」
剣を持ったシルバーの髪を靡かせた見たこともない女性が立っていた。
「ハァハァ……だれ?」
『ルナ』
「ルナ?猫じゃなかったの!?」
『そ。私も悪魔よ。残念だったね』
……くっそっ……
血のにじむような鍛練の末、祓魔師になったのにぃ
「あの日…悪魔に家族を殺された。
悪魔を呼び出した男に復讐した。そのあとは空虚よ。
皆殺しにされた家族の死体に寄り添い寝たあの2日間…。
家族に囲まれて幸せだったの…………
一緒に居れることが。
だからね、私は死体といると幸せを感じるの。
それからはひたすら死体を、死体だけを愛したわ。
私は!私だけの屍番犬(ナベリウス)を作ることに没頭したわ……
そんな時に出会ったの。
あのお方に出会ってわたしは…
…………
あのお方が祓うことのできない屍を生むことができる素晴らしいこの村を見つけてくれた。
この私のことを唯一理解してくれる。
あのお方はっ!
私を今でも家族のように見守ってくれているわ。
あはははは」
『…あのお方??』
「そうよ。あの方は凄いのよ!!
あのお方は生きてる人間から屍を作り出せるの!
あはははは ステキでしょう!?」
狂い笑う。
救いようがない女性だ。
力なく床へへたり込むマリア。
獅郎はマリアを拘束した。