第13章 旅行
フールは地下に続く階段を下り扉の前についた。
身を潜め二人の会話を聞いた。
―――――――
…床に隠されている魔法円は彼女のものじゃない?
じゃあやっぱり仲間がいる…
―――――――
「フッ…そんなに怪しかったのね…うまくやっていたと思ったのに。最初からお芝居だとわかっていたなんて……私、滑稽だったでしょう……素敵なシスターを演じてるのもバレバレだったわけか…やんなっちゃうわ。演技までして潜入……ご苦労なことね」
「そんなでもねぇよ。まぁー暇を持て余した上司が観光気分でついてきやがったのがうんざりだったが…」
「上司?気づかなかったわ」
「ずっといたじゃねぇか」
「ヨハン。ヨハン・ファウスト5世…誰だかわかんだろ」
「!!?メフィスト・フェレス…名誉騎士(キャンサー)じゃない!!あんな弱そうな男が?」
「弱そう…か、あいつの別名に”嘘つき”ってのもあったなぁ……さぁもぉいいだろ?ここの祈りで屍を祓え」
「私には無理よ。読めないもの」
「じゃあ死ね。」
獅郎は銃を取り出し、マリアに銃口を向けて引き金を引く。
カチッ
しかし今日はとことん獅郎の銃は調子が悪いらしい。
先ほどの屍番犬の攻撃でまた弾詰まりを起こしていた。
ちっ。
獅郎は舌打ちをした。
マリアはその一瞬を見極め、自らを傷つける。
「わが忠実なる僕よ この血に呼びかけに応え 我に仇なす者をなぎ払え」
先ほどの屍番犬が姿を現した。
「あなたを傷つけた奴を痛めつけてあげなさい」
獅郎に向かい襲い掛かる。
獅郎は微動だにせずタバコを咥えたまま佇んでいる。
「私の勝ちね!!」
高らかに笑い叫んだ。