第13章 旅行
フジモトは村人の手当を終えてから長椅子に座り弾詰まりしていた銃の掃除を始めた。
ヨハンと話していたはずのマリアが一人でやってきた。
「ヨハンが外の偵察に行ったわ、大丈夫かしら??」
「自分で何とかすんだろ」
フジモトは後輩であるヨハンに冷たい…。
そのままマリアはフジモトの横に腰を下ろし先ほどのフジモトの詠唱が素敵だったわと言いそのまま自分が祓魔師(エクソシスト)になったきっかけを話し始めていた。
フジモトはしまってあった煙草に手を伸ばし、ポケットの中で潰れてしわになったソフトケースから一本取り出し口に咥えた。
「火持ってるか??」
「ええ」
持っていたライターを渡すと目元がわずかに緩んだ。
しばらく話すと自分の身の上を話過ぎてしまったわね…とマリアはその場を離れた。
ヨハンが外を見てくると出ていってから数時間…
辺りは薄暗くなって来た。
フジモトの銃の手入れが終わるころ、偵察を終えたヨハンとフールは主聖堂に戻った。
変わらず村人は片隅に集まり夜明けを待っている。
何もなかったように飄々としながらフジモトに外の様子の報告をするヨハン。
フールはヨハンの足下から長椅子に飛び乗るとフジモトの横に座った。
「マリアの言う通り連絡手段と移動手段はありませんでした。しかし一台だけ……」
「一台??…そうか」
「この村で面白かったところは主聖堂にある地下ですかね。」
ヨハンは無表情のまま続けた
「あそこは鍵が掛かっていたのでこれを渡しておきます。」
胸の内ポケットから一つの鍵を出し渡した。
「でわ、こちらの件はお任せします。もうひとつ気になることがありまして…」
フジモトは鍵を受け取り
「もうひとつ?」
ヨハンに質問を返した。
フールは真剣な眼差しでヨハンの話に耳を傾けた。