第5章 どこですか?
『いや~~、参ったなこれ。はぐれた』
現在私は、無人島の森の中で迷子です。
辺りは木が生い茂り、何かの鳥の鳴き声などが聴こえる。
ふとガサッ!と木が揺れる。
『うわァ!!なんだ、鳥か』
木の上の方で鳥の群れが飛び立つ。
それを見ていた私は良いことを思いついた。
そうだ、木に登ってみよう。
レンは近くの木に登る。
登り切った所で、辺りを見回す。
しかし周りは緑ばかりでエースが見つかる様子はない。
ふと、この島の山のてっぺんに、一本だけ突き出た木を見つけた。
あそこに登れば、エースを見つけることが出来るかもしれない……
暫く脳内会議を開いた末に、"行ってみよう"という結果になった。
まぁ、本当はただ登りたいだけなのだが…
え?何故って?だってそこに木があるからだ。
『それじゃあ、行きますか!』
レンは木から飛び降りた。
◯◯◯
茂みをかき分けて進んでいると、森を抜けた所に出た。
中央にはとても大きな木が聳え立ち、地面はその木の根で埋め尽くされていた。
"御神木"と言う言葉がイメージにぴったりだ。
レンは木に近付き、ぱん!と手を合わせた。
なんとなく、そうしたくなった。
そして顔を上げ、木の幹に手をかけようとすると、後ろの茂みが激しい音を立てた。
私は素早く、戦闘態勢をとる。
生憎、刀はメリーに置いてきてしまったらしい…
「…おっと…あ!!レンじゃねェか!!
なんだこんなところに居たのか!?」
茂みから出てきたのはなんとエースだった。
『エース!!そっちこそ、なんでここに?』
「ん?高い所に登ればレンが見つかるんじゃねェかと思ってな!」
レンはキョトンとした後、吹き出した。
『なにそれ、私と同じ考え。取り敢えずエースと会えて良かったです』
「あァ、そうだな!じゃあ、戻るか!日が暮れちまう前に」
『うん、そうですね』
「次は迷子にならねェようにな」
『失敬な!急に居なくなったのそっちじゃないですか!?』
「そうだっけか?」
ケラケラと笑うエースに連れて、私も顔を綻ばせる。
そしてレンは前を歩く、白ひげのマークがある背中を追いかけた。