第5章 どこですか?
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「……い…………じょう…」
「……い……だ…じょう……いき……」
誰かが呼んでいる。
レンは閉じていた目をうっすらと開ける。眩しすぎる日差しが目に飛び込んできた。
「…おお、やっと起きた。大丈夫か?」
『え』
レンは目を見開いた。
そこに居たのは、オレンジ色の帽子を被り、黒髪で腕にはタトゥーがある青年がいた。
『え、エース!?』
突然のエースの登場に、レンは飛び起きた。
エースと会うのは彼がまだ幼かった時以来だ。
「うぉ、急に大きい声出すなよ!
びっくりしたじゃねェか……なんだ、おれのこと知ってんのか」
『え、うん。いや、ここ何処?』
今レンがいるのは、メリー号ではなく何処かのビーチだった。
浜辺にはエースが乗って来たであろう、一人乗り用のストライカーがあった。
「さぁな!兎に角、元気そうで良かった。
おまえ、名前は?」
『レン、です』
「レンか。お前一人か?仲間は?」
『…えーと、さっきまで一緒にいたんですけど。はぐれたと言うか、飛ばされたと言うか…』
「飛ばされた?」
『そう』
エースは不思議そうな顔を見せる。まぁ、無理はない。
私がゴーイング・メリー号からここのビーチに移動した原因は、たぶんこの首から下げている石のせいだろう。
「ふーん、まァここは"偉大なる航路"だ。あり得ねェ話じゃねェかもな」
エースはそう言ってニカリと笑う。
いや、信じるの早いな。
「…それでレンはこれからどうすんだ?仲間ンとこ、戻れんのか?」
レンは首を横に振った。
「…そうか、じゃあ一緒にこの島でも探険するか!
無人島みてェだし?なっ、いいだろ?」
エースが太陽のような笑みを浮かべる。
それについドキッとしてしまった。
『えっ、うん』
「よし決まりだ!!」
そう言うとエースは私の手首をとり、立ち上がった。