第7章 夢の島?
しかし一族の誰一人、ノーランドを憎みはしなかった。
それは、ノーランドが類いまれなる正直者だったから。
絵本ということもあり、ノーランドの最後は面白く描かれているが実際は大粒の涙を流した無念の死だったという。
「到着した島は間違いなく自分が黄金都市の残骸を見つけたジャヤ。それが幻だったとは到底思えない。
ノーランドは地殻変動による遺跡の海底沈没を主張したが、誰が聞いてももはや苦し紛れの負け惜しみ。
見物人が大笑いする中、ノーランドは殺された」
「じゃあ!!だからおっさんはそのモンブラン家の汚名返上の為に…!?」
「バカ言うんじゃねェ!!!」
モンブランは銃を撃ち着けた。派手な音を立て、銃弾は家の壁にめり込んだ。
急に銃を撃たれウソップは半泣きし、それを見たルフィはモンブランに睨みを聞かした。
「大昔の先祖がどんな正直者だろうが、どんな探検家だろうがおれに関係あるか!!!!
そんなバカ野郎の血を引いてるってだけで、見ず知らずの他人から罵声をあびる子供の気持ちがお前らにわかるか!!?おれはそうやって育ってきたんだ!!!」
モンブランさんは声を荒げて言った。そしてふと窓の外に視線を向け、今度は静かに語り出す。
「だがそうさこの400年の間には一族の名誉の為にと、この海へ乗り出した者も数知れねェ…その全員が消息不明になったがな。
おれはそんな一族を恥じた。そして家を飛び出し海賊になった」
「へー、おっさんも海賊なのか」
「別になりたかったわけじゃねェ。ノーランドの呪縛から逃げ出したかったんだ」
10年前モンブランは冒険の末、このジャヤにたどり着いた。モンブラン家をノーランドを最も嫌い続けたモンブランさんだけが…
島に黄金郷は見当たらない。
これを運命と考えたモンブランは船の仲間と別れ、一人海へ潜り続けた。
「あるのならそれもよし…ねェのならそれもよし…
別に黄金を見つけて、奴の無実を証明したいわけじゃねェ。
おれの人生を狂わせた男との、これは決闘なのさ。おれがくたばる前に、白黒はっきりさせてェんだ!!!」