第4章 再会
~海軍side~
船から遠ざかる、あのお嬢ちゃんの船を見送る。
「カイム大佐。行かせてしまって宜しかったのですか?やはり、一人では危険なのでは」
彼は一度敬礼した後、そう言った。
俺も最初はそう思ったが、この船から飛び降りて逃げていく辺り、ただのお嬢ちゃんではなさそうだ。
「大丈夫だろ。本人がそう言ってたからよ」
「ですが…」
「はいはい、さっさと仕事に戻りなさい」
「ハッ!!」
彼はもう一度敬礼すると、視界から消えていった。
はぁ、と大きなため息をする。
あのお嬢ちゃんのサングラスの間から見えた瞳は、海のように深く青かった。
"海の精霊"。噂程度でしか聞いたことが無かったが、いやいやまさか本当にいるわけない。
「どうしたもんかねぇ」
ポツリと独り言を呟く。
上に報告しようにも、海の精霊だという証拠が少なすぎる。
だがこれが事実で、放って置けば後々厄介な事になりかねない。
海軍に歯向かうとなれば、こちらは手を焼く事になるだろう。それだけ"大きな力"を持っていると聞いたことがある。この海の世界で。
「面倒くせぇなぁ」
頭をガシガシと乱暴に搔くと、鼻唄を歌いながら自身の執務室へと向かった。