第4章 再会
「さてと…じゃあ此方へ」
え、本当にお茶するの?
『…はいー』
レンはこの船で一番偉そうなオジサンの海兵に仕方なく従い、執務室らしき部屋に通される。
人払いをすると、ドカッとソファに座る。
「どうぞ、お掛けになって。コーヒーは?」
『貰います』
少しして、部屋に二人分のコーヒーが運ばれる。
運んで来た海兵は、何かオジサンの海兵に耳打ちをして部屋から出ていった。
こ、これは、バレた?バレてない?
「それで、本当に一人旅を?漂流してたんじゃなくて?」
『漂流!?い、いや、本当に一人旅です』
「ふーん」
信じてなさそう。
コーヒーを一口飲む。
「一人旅は長いのか?」
『は、初めてです。今日から始めました』
「今日から?」
おーい!!これは完全に疑われてるぞ!!
正体がバレてしまったのバレてないのか分からず、#NANE1#は内心ビクビクとしていた。
そんな時、目の前に座るオジサンの海兵が豪快に笑い出した。
「ガーハッハッハ!!やっぱり、慣れねぇことはするもんじゃねぇな。すまねぇな、お嬢ちゃん。怪しいもんは調べないといけなくてな」
『はぁ…』
やっぱり怪しまれてたのか。
「確かにお嬢ちゃんは、海賊でも賞金首でもないみたいだな」
海賊という言葉に心臓がビクッとなる。
今は確かに海賊ではないが、これからなる予定ではある。
「良ければ近くの島まで送るが、どうする?」
『いえ、お気持ちは嬉しいんですけど、一人旅ですので。自分で、行きます』
「そうか、残念だ」
それじゃあ、と二人は部屋を後にして、また甲板へと出る。
『コーヒーありがとうございました』
と言った所で、私の顔に向かって手が伸びてくる。
それをひょいっと避けて、その手の先を見るとあのオジサンの海兵だった。
今、サングラス…取ろうとした?
空を切ったその手は、何故か私の頭の上へと置かれる。そしてグシャグシャと乱暴に撫でられた。
「気を付けてな」
レンはその手から逃れると、自分の船へと飛び降りる。
え、今の何!?
私は不安要素を残しつつも、船を出す。
後ろを振り向いたが、海軍の船は追っては来なかった。