第4章 再会
海軍の船は私の乗っていた船の少し先に止まった。
『あの~、なにかご用でしょうか~?』
レンはそう言って立ち上がり、相手が返すのを待つ。
すると、中年位で煙草を吸っている、髭の生えたワイルドそうなオジサンが出てきた。多分、この船の中で一番偉いのだろう。
「ん~?こんな海の真ん中で、お嬢さんは、お一人で何をしていらっしゃるのかな?」
不敵な笑みを浮かべ、こちらに問かけて来た。
『あ~、怪しい者ではないです。…ただの旅人です!』
「旅人?一人で?」
すると、一人の若い海兵がオジサンの海兵に近付き耳打ちする。
それを聞くとまたこちらに顔を向け、にこやかに笑った。
レンは僅かだが、先程との違いに気が付いた。
何かを企んでいるような笑みだった。
「もし宜しければ、お茶でもいかがですか?」
ちょっ、あの見た目でお茶とか…似合わね~。
『…ん~、折角のお誘いですが、お断りさせて頂きます。私、急ぎの用がありますので』
吹き出すのを何とか堪え、レンもにこやかに笑い、誘いをやんわりと断る。
「へぇ、断るか」
あ、これはいかん。疑われてる。
『あ~、やっぱりお茶貰おうかな?』
「それは良かった。…よし、梯子を降ろせ」
『あ、ありがとうございますー』
レンはそう言うと、降りてきた梯子を登る。
船の上には勿論海兵が沢山いて、私はその注目を浴びた。
サングラスしてるし、あの"海の精霊"とかいう恥ずかしい二つ名のやつはバレてないよね。