第1章 帰って……きた?
そのまま3人で食堂まで行くことになった。
途中、宗三さんが主にちょっかいをかけ、主がそれに噛み付くという戯れが何度もなされた。
私は終始、それを笑って見ていたのだった。
今日も変わらず平和で、心から嬉しく思う。
春子side……
数珠丸恒次も、他の刀剣と同じように私に接した。
昨日来たばかりのはずの私に、今までもずっとここにいたかのように、慈しむように世話を焼く。
ただひとつ彼が違う点をあげれば、他の刀剣が
「昨日はゆっくり話せなかったから、今日はたくさん話そう」
といった旨を言うのに対し、彼はそのようなことを言わない。
むしろ「今日も寝癖が付いていますよ」だとか、
「つい先週も枕を投げて障子を新調したでしょう」だとか。
私がいなかったはずの日の話を、私がまるでいたかのように話すのだ。
鶯丸も、例外では無かったけれど。
昨日本丸の玄関で何かを忘れたか問い掛けられて以来、言葉を交わせていないので、正確なことは分からないが。
現在賑やかな朝餉の席では、私の隣に前田藤四郎、それから乱藤四郎が座っている。
この2人は、私がここにいない間の話をとても興味深く伺ってくる。
それが普通だと思うのだが……数珠丸恒次のことを思うと、少し身が震えた。