第2章 我が部の荒北も二人
宿題のためにと言うのは言い訳で、一度部活動中を見てみたかったんだと思う。しかし、待って10分で音をあげてしまった。
広めのグランド、綺麗に並べられたバイク。洗濯物がはためき、中の熱気とは大違いな空気感。すると端の方でバイクのものであろう部品の数々を見つけた。近付いて興味津々で見つめていると
「あれ、珍しいお客さんだ」
と数種類のドライバーをもった男子生徒が部室から出てきた。
「あ、すみません。」
慌ててその場を離れようとすると
「荒北さんもバイクに興味あるんだね」
とにこやかに言う。
「あ、俺は宮田。この部のメカ担。」
「選手じゃないんですか?」
「んー。バイクには乗るけど、メンテナンスとかが主かなー」
そんなポジションもあるのかとしみじみし、部品達を見つめていると、
「いまから一台組むんだけど・・・・・やってみる?」
そう言われ、とっさに「やりたいです!」と口にしていた。
「・・・けど、いいんですか?私、何も知らないですし」
「部員のだったらあれだけど、俺のだから。」
と宮田さんは笑って、ドライバーを渡してくる。一つ部品を渡され、どこにつけて、この部品をつけるときはこの道具を使ってと、言われた通りにやっていくとどんどん出来上がる。話していると宮田さんは同じ学年だった、なぜ名前を知っていたかときけば、有名だからと笑われる。辺りが暗くなってきたと感じた頃にはほとんど組み終わり、一息つくと
「何してんだお前?」
と荒北君の声が後ろから聞こえた。振り向くといつものメンバー
「凄いなメイ!見事に組まれてる」
と東堂君。
「普通女子って途中で飽きるんだけど、やっぱり名前のせいもあるのか珍しいよ」
と笑う宮田君に驚き、宮田君と目が合うと
「いやぁ、いつやめるかと思って」
と宮田が一言。それに対し、恥ずかしがる名。名が来た事に気付き、一部始終を見ていた福富は宮田を呼び、部長を呼んだ。部室で話す3人に不安がよぎる名
「メイは部外者ではあるからな」
「あーあ。やっちゃったんじゃねーの」
「まぁ、宮田のやつだし大丈夫だって」
様子を伺っていると、部長であろう先輩が出てきて組んだバイクを見る。福富君が部長さんと話し、ところどころで私を見てくる宮田君。そして、話が終わったかと思うと福富君と宮田君が近付いてきた。