第8章 荒北の荒北は荒北さんの荒北
仲直り。この歳になって改めて思う。
(仲直りってどうするのぉぉぉぉ!!)
あぁ分からない。改めて思うと分からない!ごめんね。って言えば良いの?ごめんで良いの?
(いや、でも・・・・)
『荒北君から離れる!』
(言ったの私だよなぁぁぁぁ。あぁぁ!)
授業中頭を悩ませ
(何だこいつ)
その姿を後ろから見ている荒北。
「早くしろメイ!!」
「分かってるよ!!」
最近、よく東堂に絡まれてる名チャンは毎日、どこかのタイミングで頭を悩ませてる。
「メイ!」
「分かってるーーーー!!!」
相変わらずの東堂とのやり取り、
「最近何やってンだあいつら」
そう新開に問えば
「気になる?」
「・・・別に」
嘘。
気になる。いつもの名チャンが無駄に何日も頭を悩ませてるのは見ていて、
「イライラする」
「え?」
「なんでもねー」
東堂と仲良くしてる事もあるが、ウジウジしている姿は昔の自分とかぶって見ていて鬱陶しい。
(ここ最近、ずっと荒北君の事考えてる)
部活のマネージャー業中、洗濯物を干しながらそう思う名。
荒北と付き合う?今は3年、付き合った所で予定としてはお互い地元を離れるし、自分は上手く遠距離恋愛をこなせるだろうか。
(いや。いやいやいや、だからないって!!)
パンっ!と洗濯物のシワ伸ばしをする。
(荒北君が私なんかを気に入って・・・)
自意識過剰だろうか。荒北は福富の様に認めた人にはチャンづけだ。人を避けていた時から自分は隣を許され、昼も帰りも一緒、今では1日中だって居られる。こう思うとあちらが恋愛対象でなくとも自分を好いてくれていると思っても良いだろうか。
「名先輩、そんなに好きだったっけ?」
「え?!誰を?!私が?今言った?誰って言ってた?」
「いやぁ、洗濯物ですよ。凄く真剣にやってるから」
「・・・真波。」
にこにこと笑う真波は掴みどこがない1年生だ。荒北も不思議ちゃんと言っていた。
「仕方なくよ。」
「へぇ、で、先輩は誰が好きなんですか?」
そう聞かれて、自分に問うと答えは1つ。
(・・・・荒北君)