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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第4章 恋知りの謳【謙信】


引き寄せられるように美蘭に近づいた信玄は、美蘭の真正面に立った。

そして約束通り一切身体に触れることはなく、

だが視線は犯すようにじっくりと美蘭の身体をなぞりながら、話を続けた。

「伊勢姫は、家臣によって寺に幽閉された。」


近過ぎる距離に身体を震わせながら耐えている美蘭の胸元に、消えかけているが、男が咲かせたであろう赤い華が咲いているのを見つけた信玄は、

「…っ!」

わけもわからぬ苛立ちに包まれた。


「しかも幽閉にとどまらず、尼になることを強いた。」

他に、男がつけた赤い華はないだろうかと、息が吹きかかるほど近くで美蘭の身体を調べるように見つめていく。


「以降も謙信を誘惑することがないようにと。女であることすら、取り上げたという訳だ。」

生まれたままの姿を男に晒していると言うのに、想い人の話に没頭している 美蘭。


「そんな自分の運命に絶望した伊勢姫は…出家させられた翌日、自ら命を絶った。」


「…そんな…っ。酷すぎます…っ…。」

恋敵と言えなくもない伊勢姫が受けた酷い仕打ちに同情して震えている 美蘭。

その大きな瞳からは、一筋の涙が流れ落ちた。



ここまでしても、

君の瞳に俺は映らないのか?



信玄は、

目の前の美しく魅惑的な乳房に、フゥッ!と息をかけた。

「…きゃ…っ!」

すると、

たったそれだけで、美蘭の乳首は固く反応した。


「この程度で起立してしまうとは…随分いやらしくて魅力的な身体なのだな?俺の天女は。」

「何もしないって…」

真っ赤な顔で、自分を睨みつける美蘭にゾクゾクしながら、

「触らないと言った。約束は守っている。」

信玄は必死に平静を装った。



謙信は、

伊勢姫の悲劇は自分と関わった所為だと思っている。



美蘭が大切だからこそ苦悩しているのがわかる。


あの悲劇を繰り返さないために。

美蘭を傷つけないために。



だが信玄は、

悔しいから、それは教えてやらないと決めた。


「これで話しは終わりだ。」



すると美蘭の瞳から、

涙が次から次へと溢れ出た。



「……もう…聞いても仕方ないのに。何やってるんだろう…わたし。」

「…?!」
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