第4章 恋知りの謳【謙信】
「ならば…。」
謙信は、
うさぎを撫でるのを止めた手を美蘭に伸ばした。
「笑いたくなったら、俺のところへ来い。」
そして
「俺の前でだけ、笑うがいい。」
美蘭の髪を撫でた。
「………!!!」
さっき、耐えられなくて目を逸らしたのに、また色違いの切れ長な瞳が放つ熱い視線に捕まってしまった。
見つめ合っているだけだというのに
身体中が、アツい。
(わたし…なんか…変だ…。)
信玄の、歯が浮くような口説き文句の嵐にもどう対処していいかわからないのだが、それとは違う感情だった。
「ありがとう…ございます…。」
美蘭は、
そう答えるのが、精一杯だった。