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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第1章 梅の花 嫉妬の謳(秀吉誕生祝い2017)


やっとのことで、挨拶に一区切りつくと


今度は
秀吉と一緒の敷物で花見したい者に囲まれた。


「あちらの梅の木の下でご一緒しません?」
「先日のご活躍、是非詳しくお聞かせ頂きたい!」
「是非娘を紹介させてくだされ!」
「わたしもご一緒したいわ!」


秀吉は、笑顔で丁寧に対応しながら、
美蘭が見守れる場所にいるには
この後どう行動するべきか、頭を巡らせていた。


上座の信長は、
大名に申し入れられた政務絡みの囲碁
の相手を始めている。


隣にいたはずの美蘭は…


横目で必死に探ると


(……!また彼奴ら!)


上座のすぐ隣の、光秀・政宗・家康が座している
敷物に移動して、3人に囲まれていた。


楽しそうに美味しそうに政宗の重をつつき
もぐもぐと咀嚼している美蘭の姿は


(…可愛いな…。)
秀吉の胸は、甘く痺れた。




(やたら楽しそうな彼奴らが気に入らないが…)


威厳を放つ信長の隣に座していた美蘭に
必要以上に話しかけるなど誰も叶わなかったが、
信長と離れた今、話しかける隙はないかと、
周囲をうろちょろする
挙動不審の大名や武士たちが目に入ったが、


美蘭が名だたる武将に囲まれているため、
近づけないようだった。


(美蘭は、あそこにいるのが1番安全だな。)


若干モヤモヤする感情はあるが、
そう胸を収めた秀吉は、
冷静に、次の身の置き方を決めた。


「久しぶりに、連歌に加えていただこうか。」


武将の間で流行っている連歌。
5・7・5の長句と7・7の短句を交互に歌い
長い歌を作っていく遊びである。


秀吉が暇があれば顔を出している
連歌の集いの武将たちが、
美蘭がいる敷物の隣の敷物に集まっていた。
ここなら、美蘭の様子も見守れる。


「これはこれは秀吉殿!」
「久しぶりにお手合わせ願えるとは!」
「さあさ、こちらへ!」


秀吉は、武将たちに招き入れられ、
美蘭の隣の敷物に腰を下ろした。


すると殿方の遊びである連歌を
間近で見られるまたとない機会であると、
それを単なる秀吉に近づく理由にした女子たちが
その敷物をあっと言う間に取り囲んだ。


「面白い見世物が、向こうから寄って来たな。」
その様子を見ながら光秀が喉を鳴らした。
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