第3章 青い春の謳【三成】
「今日で3日目…。」
三成の御殿で寝起きをしている美蘭は、急な仕事で安土城に泊まり込んでいる三成の帰りを待っていた。
主人(あるじ)不在の閨で、2日間眠った。
会えなくて寂しいし、
三成が恋しい。
だが
一緒に寝なければ、あのモヤモヤした気持ちになることはない。
…そう思うと、ほっとしている自分もいた。
(こんなことで、これからどうしたらいいの…。)
その日の夕刻、
三成はようやく御殿に帰ってきた。
「只今戻りました。美蘭様。」
「…三成くん!お帰りなさい。」
久しぶりに見れた陽だまりのような三成の笑顔は眩しくて、
美蘭の胸はドキドキと高鳴った。
(やっぱり…会えると嬉しい…。)
だがその直後、
「2日も御殿に戻れず…すみませんでした。会いたくて堪りませんでした…。」
そう言って、ふわりと抱き締められた瞬間、
「…!」
美蘭の身体は強張った。
また、あのモヤモヤした気持ちや痛みが繰り返されるのだろうか?
これからずっと、
続いていくのだろうか?
繋がりたくない訳ではない。
身体の痛みなど、たいした事ではない。
本音を隠したまま抱かれ続けることが、三成を裏切っているようで耐えられないのだ。
「家康様のいう通りですね…。」
固まって動かない美蘭の髪に優しく口付けた三成は、更に身体を固くする美蘭を、悲しそうに見つめながら言った。
「あなたをそんな風に悩ませていたなんて…わたしはダメな男ですね。」
「三成…くん?」
「初めてこんな風に好きになった女性と心が通じて…その貴女に触れる事ができて…自分のことだけで精一杯でした。」
(もしかして…わたしの気持ち…)
「貴女が可愛いくて、愛しくて…余裕がないくせに。かっこ悪い姿も見せたくなくて、貴女がどう思っているのか尋ねるのが怖かったんです。」
「…気づいて…くれた…の?」
「大切だからこそ…貴女の気持ちを確認しなくてはいけませんでしたね。すみませんでした。」
三成が美蘭の頬を優しく撫でると
美蘭の瞳に涙が浮かんだ。