第3章 青い春の謳【三成】
「わたしが美蘭様を傷つけていたなんて…。」
日頃何があっても動じずポーカーフェイスを崩さない三成が、おろおろする姿は珍しい。
「身体だけじゃないんじゃない?あの性格だからね。傷つけられたくせに、あんたを気遣って悩んでるに決まってる。」
ただでさえ苦手な三成が美蘭を独り占めしたことを、日頃から不満に思っていた家康は、辛辣な言葉を畳み掛けた。
「…家康。そのくらいにしておけ。」
自分も憎からず思っていた美蘭を、三成に独り占めされてしまった男として複雑な心境を感じながらも、
三成のことも、弟のように、また家臣としても大切に思っている秀吉は、家康を制した。
「お前、美蘭のこと、随分良くわかってやってるんだな?」
政宗が、
家康の気持ちを知っていて、わざと揶揄うようにそう言うと、
「本当ですね!1番側にいるはずのわたしが気付きませんことを…ありがとうございます!!!」
天然なのか嫌味なのか
返した言葉は家康の神経を逆なでした。
「本当にあんた、嫌い。」
「…くっくっく…」
政宗は声を殺して笑った。
「まあ…アレだ。女の身体は準備が必要ってことだ。」
秀吉が言いにくそうに口火を切るが、煮え切らずわかりにくい。
十分に経験がありわかるのだが、相手が美蘭であると思うと、口にするのが何か引っかかり、上手く言葉にできないのだ。
じれったくて見ていられない…と、政宗が口を開いた。
「男が気持ち良くなるのは最後だ、三成。まずは女を気持ち良くするんだよ。」
「まずは女の方…美蘭様を…。」
「死ぬほど気持ち良くしてやれば、女の方から懇願してくる。そうなるまで、差したら面白くネェぞ?」
「…わたしに…我慢できますでしょうか…。」
「耐えてみろ。耐えた分の快楽が得られる。そいつを知ったら…次からお前が、そうしないではいられなくなる。」
代わりに政宗が説明してくれたことに安堵した秀吉と、不愉快そうに聞いている家康。
「わかりました!皆様ありがとうございます!美蘭様のために頑張ってみます!」
「そうだ、その意気だ。」
「……聞きたくない。」